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No825  今年の国語世論調査から1

 文化庁の令和元年度の「国語に関する世論調査」(令和2年2月27日~3月15日)の結果が、先週土曜日に朝日新聞朝刊、神奈川新聞朝刊に載っていました。実践国語道場「ことばに敏感」はまさにタイムリーでした。

 

 まず、新しい表現の浸透度からです。

①「~活」を自分は使う(54.4%)他人が言っても気にならない(90.6%)

 あの国語辞典編纂者の飯間さんの解説(朝日新聞)では、「○○活」はもともと、「就職活動」を「就活」と略すようになったのが始まり。

 バブル崩壊後の就職氷河期、就職活動に多くの時間を割くことになり、就職活動という言葉を頻繁に使うようになった結果「就活」が広まった。

 その後「婚活」が登場・定着するなど、活という言葉が造語力を獲得。「終活」「美活」「腸活」など新しい言葉ができた。

 定着した背景については、「活」は活力の「活」でもある。「何かのために一生懸命努力すればいい結果が生まれる」という前向きな感じがし、人に訴える力がある言葉として人気になった。

 

②「~ハラ」を自分は使う(58.1%) 他人が言っても気にならない(82.5%)

この言葉は、「セクハラ」が始まり。もともとの「セクシュアルハラスメント」は「悪ふざけ」とされてきた性的嫌がらせを「犯罪にもなりうる」と考え方の枠組みを大きく変える言葉だった。

 その後、」「パワハラ」「アカハラ」など次々に生まれ、平成以降の日本で重要な功績を果たし、人々の考え方を前進させた言葉として日本に根ざした。

 

③「~ビズ」を自分は使う(41.7%) 他人が言っても気にならない(87.6%)

 「クールビズ」「ウォームビズ」

④「アラ~」を自分は使う(35.9%)他人が言っても気にならない(75.9%)

年齢の前後を意味する「アラサー」「アラフォー」

⑤「ガン~」を自分は使う(26.6%)他人が言っても気にならない(57.6%)

まじまじ見るを表す「ガン寝」「ガン見」

 

 実際の調査結果を調べてみると、この5つのことばの中で「ガン○」が36.6%で気になる人が多かったのです。私も気になります。「ガン」ということばの響きが嫌いです。あまり使いたくないですね。

 さらにこの言葉は、世代別では、16~19歳が77.3%と高い数字を示しました。

 

 また性別では、「~活」が自分は使う男性48.9%、女性59.2%と差が見られるました。 長くなりましたので明日につづきます。