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No739 タテ書き

 今日は7月2日(木)の朝日新聞朝刊の「オピニオン&フォーラム」にあった「タテ書き 絶滅危惧?」からです。皆さんは、最近タテ書きで書いたことありますか?

 今回の書き出しストックのリニューアルもタテ書きにこだわりました。

 

 日本語学者の屋名池教授の話が分かりやすかったので、抜粋してみます。

・文字を配列していく方向を「書字方向」と言います。言語は通常、タテ書きかヨコ書きか一つの書字方向にしか配列できませんが、日本語はタテにもヨコにも書いたり読んだりできる、世界でも類を見ない言語です。

 

・書字方向がもたらす時間順序は、私たちの生活や文化の中に深く根付いています。例えば、日本の屏風や絵巻物は左へ行くごとに季節が進みますが、西洋の絵巻物は逆で、左から右へ、時間が流れていくのです。

(よって美術館では、日本・東洋と西洋では順路が反対になります。)

 

・幕末まではタテ書きしか用いられない時代が続いてきました。明治以降、外国語とのかかわりからヨコ書きが使われるようになり、タテヨコ併存の時代を迎えます。現在は、日常生活所の用途ではヨコ書きが中心になり、時にタテ書きも使う、という形に落ち着いていえるといえます。

 

・タテ書きの代表格は新聞です。デジタルでは、ヨコ書きで問題なく配信されています。韓国では90年代に新聞が全てヨコ書きに変わりました。

 

・タテ書きが根強く残りそうなのが、漫画です。日本の漫画は右から左へ読み進め、時間もそう流れます。ひとコマ内に2人が描かれていたら、先に話す人物は右側にいる必要がある。書字方向が構図と深くかかわっています。

 

・タテ書きが未来も生き残るか、カギを握っているのは、漫画なのかもしれません。(そうやって漫画を眺めてみると、タテ書きが愛おしくなりました。)

 

 もう一人の歌人の井上法子さんの感じ方が印象に残りました。

・タテ書きは「雨」のイメージです。雨が空から降り注ぐように、タテ書きの言葉は重力に吸い込まれるように上から下へ落ち、読むと自分の芯を貫いてゆきます。その後、体の内側からじっくりと濡れていく感じに近いのです。

 

・ヨコ書きの言葉は「川」のように感じます。言葉に浮力があり、目に飛び込んでくる。そこで意味を放ち、すぐ横に流れ去っていく感じです。ヨコ書きは疾走感があって、濡れるというより浴びるような感覚に近いと感じます。

 いかがですか?いまメールを疾走感を感じながらタイピングしました。