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No731 夏休みの短縮  

今日の朝日新聞朝刊の「オピニオン&フォーラム」のテーマは「夏休みの短縮、必要?」でした。

 

 「授業ができなかったからといって、夏休みを短くするのは反対」と言う元小学校教員の森田さんの意見にメールによる反響は真っ二つに分かれたというものです。

 「工夫次第で授業時数は減らせる」という意見は、5月のラインがるべるでも紹介しました。この意見に対して、教員経験者は反対意見が多く、親は賛成意見が目だったということです。立場によってどうしてこんなに意見が分かれるのでしょう?このあたりにこれからの教育の課題が見えてくるのではないでしょうか?

 

 短縮必要意見の教員経験者の方の話からです。

「漢字力や計算力など、記憶しなければならない基礎学力を、長い時間をかけることで身に付けていく子も一定数いるのです。」

 確かに、定着には反復が必要です。だから宿題にすることが多いのです。しかし、もっと漢字や計算には魅力的な学習方法があるはずです。長い時間をかけたから身につくものではありません。

 

「一つの読み物をクラスで、仲間と議論しながらじっくり読む進める体験が読書嫌いの子には大切です。この積み重ねで文学に触れる喜びを味わえるようになるのです。」

 先生が解説をしてしまえば、早く終わりますが、こういうやり方は反対です。対話は有効だと思います。こういう授業が成立できる先生なら、たくさんの指導時間を必要としません。

 

「休校で遅れた学習内容を取り戻すには、夏休みと冬休みを短縮し、例年に近い授業時間を確保する以外方法はありません。」

 授業時間確保が大事なのではなく、子どもの学びを保障することが問われているのです。

 

 短縮不要意見の保護者の方からの話です。

「久しぶりの登校日も学校からの連絡は『友達と遊ぶ約束をしていた子がいるから遊ばせないで』『名札をしっかりつけて』という注意ばかり。そして、夏休みの短縮です。こどもの気持ちを一切考えず、アリバイづくりをしているようにしか思えません。

 子どもの学習は授業時数だけで決まるものではありません。もちろん、夏の間も希望する子に補習をするのはいいと思います。一律にやらなくてもいいのではないかということです。」

 

 注意が多いという声は、耳が痛いですね。やはり、授業時数の確保が親の願いではないのです。夏休みの短縮は、先生たちの責任ではないはずです。私も3カ月も休校したのですから仕方のないことだと考えます。保護者の方は、夏休み短縮に反対の考えが本当に多いのでしょうか?まさに家庭間格差だと感じます。

 

 勉強時間の確保ではなく、長期の休みは、家庭間の格差が顕著に表れ、子どもたちの心身に大きな影響を及ぼすので、阿部教授(都立大・貧困格差論)は「夏休みは絶対短くするべき」と主張しています。コロナの影響で虐待や生活困難の家庭が増えているはずです。このような家庭は休みが多くなることは歓迎しないと思いますが。