· 

蘭学事始 No.9

こんばんは。

先日スーパーに買い物に行っているとき、お母さんと娘さんのこんな会話が聞こえてきました。

「もうすぐ先生が家に来ちゃうから早く帰ろう。」

「どうして?」

「先生が宿題のプリントの答えをもって一軒一軒来てくれるんだって。」

という会話です。驚きました。

私はこの期間、親戚の家を借りて住まわせてもらっており、割と田舎で聞いた会話なので、もしかすると1クラスの児童が少ないのかもしれませんが、先生方の苦労を想像すると相当なものだと思います。

もちろん先生が自分の学級の子供たちの家を一軒一軒回ることが、絶対に悪いとは言い切れないと思います。長く続いている休校期間に、子供たちの様子や家庭の状況を知ることができるという大きなメリットがあると思うからです。しかし、もし今自分が働いていて、緊急事態宣言も出ている中で、プリントを渡すために学級全員の家をまわってくださいと言われたら...子供たちや自分のリスクを考えると、喜んで行きます、とは言えないなあと思ってしまいました。がるべるに参加されている先生方の中でも、こういった状況は起きているのでしょうか。

 

さて、この休校期間中にオンライン教育を行っている学校は日本ではまだ限られていると思いますが、オランダではかなり多くの学校で実施されているようです。

オランダで休校が決定したのは3月15日(日)の夕方でした。その前の木曜日に、首相が「休校はしないつもり」という発言があったにもかかわらずの決断でした。突然の休校決定という点は日本と似ているかと思います。

しかし、それからたった数日後の18日の報道では、「オランダの88%の学校では、オンライン授業がほぼ完全に実現済み、11%が準備中」という結果になったそうです。また、政府は自宅にコンピューターがなかったり、自宅のコンピューターを家族と共有しなければならなかったりする子供たちのために、パソコンを配布すると3月末の時点で発表していました。

それでも、968校を対象とした調査では、そのうちの22%の学校で「連絡が取れない子がいる」と回答しており、全体で約5200人の児童生徒に先生が連絡を取れていないそうです。「連絡が取れない子がいる」学校では、平均して全校児童のうち4人の子供と連絡が取れないという結果になったそうです。(4月9日時点)

問題点はあるにしても、驚くほど迅速な対応だと思いました。休校決定から約3日でオンライン授業がスタートしているのです。

そもそも、オランダ人は合理性を大事にする国民性と言われており、様々な場面で電子化が進んでいます。買い物で現金を使うことはほとんどありません。学校では教師と保護者がアプリを使って連絡を取り合ったり、面談の予約をしたり、授業の様子を教師が写真や動画を配信するということもよくあることだそうです。さらに、オランダ人は新しい方法を試すことを厭わない傾向にあるとも言われています。「試してみてうまくいかなかったら、しょうがない。また変えてみればいい。」という考えたかが当たり前のようです。だからこそ、今回のオンライン授業が実現するのも早かったのではないかと思いました。

 

どうでしょう。なかなか日本人の私からすると、教育の現場で「試してうまくいかなかったらしょうがない。」と思い切って考えるのは難しく感じました。

オランダとは国民性や文化が全く違う日本において、実際にオンライン授業をするとなったら、低学年の子供たちにどのようにパソコンを使わせるのか、そもそもパソコンが家にない子はどうすればよいのか、果たして保護者が準備をしたり使い方を子供に教えることに応じてくれるのか、子供たちのパソコンを使うにあたってのマナー・モラルなど、自分自身(先生)が操作に自信がない.......など、挙げればキリがないほど考えなくてはならないことが山積みです。しかし、休校期間がいつまで続くか分からない今の状況で、いつかオンライン授業をするようになる日が来るかもしれません。もしくは、もうすでに行っていたり、準備を進めたりしている先生もがるべるの中ではいらっしゃるのでしょうか。私もYoutubeでオンライン授業の仕方を解説している動画や、実際に授業をしている動画をいくつか見てみました。実際に教室で行う授業にはもちろんかないませんが、教材を選べばどうにかやれることもありそうだな...と感じました。もし時間があったら探してみてください。

 

※オランダにおけるオンライン授業について、実際にお子さんをオランダの学校に通わせている方が書いている記事を見つけました。とても分かりやすいので、良かったら読んでみてください。

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200329-00071397-gendaibiz-life&p=1