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蘭学事始 No.8

 

こんばんは。日本でも報道されているようですが、コロナの影響がついにヨーロッパでも大きくなってきました。今回はオランダの状況を伝えます。

 

•イタリアでコロナウイルスが増える前

 

ヨーロッパの人からすると中国人が持っている菌というイメージ。もともと特に中国人に対する差別意識が散在的にあったため、コロナがきっかけで表面化しました。オランダではラジオでDJが中国人をバイ菌呼ばわりするような歌を流したり、大学の寮に中国人を侮辱する落書きが発見されたりしたことを受けて、アジア人が署名を集めて差別をやめるように訴える運動が起きました。首相が自ら「差別はあってはならない。」と国会で話した事も話題になりました。

また、日本人学校の小学生が室内遊具施設で遊んでいたところ、数人のオランダ人小学生に「チャイニーズ、ファック」などと言われ、暴行を受けて怪我をするという事も起きました。私もバスや電車などで(思い込みかもしれませんが)警戒されるような表情で見られたり、すれ違いざまに「コロナ」と言われた事が1度ありました。

 

•2月下旬あたり

 

コロナが人ごとだったオランダにとって、急転したのは2/27。オランダで最初のコロナウイルスに感染した人が確認されました。すでに感染が100人ほど確認されたイタリアの地域から帰ってきた人です。さらにその人が、オランダ で行われたカーニバルに参加しており、その後参加者から爆発的に増え始めました。オランダでは2月の中旬から下旬あたりに、「クロッカス休暇」という、1週間ほどの休暇があります。この休暇のあとに感染者が増え始めてしまったのです。

最初の感染者が確認されて以降、普段マスクをする習慣がないオランダでも、マスクが売り切れ。ハンドソープやハンドジェルが売り切れました。売り切れてはいますが、未だにマスクをしている人は見かけません。私がオランダに来てからマスクをしているのを見たことがあるのは2回だけです。いずれもアジア人でした。オランダ人にとってマスクを着けて外を歩くのは、パンツ一丁で出歩くのと同じくらい恥ずかしいそうです。日本人にはなかなか理解しがたい文化ですよね。

 

•ここ1週間

 

先週あたりから感染者数が爆発的に増え始め、3/16はたった1日で278人増えたそうです。日本と同じように、トイレットペーパーも売り切れ。3/15 の夕方に首相が「明日からすべての小、中学校、およびすべての保育施設は閉鎖する。また、レストラン、カフェ、スポーツクラブ、フィットネスセンター、サウナ、コーヒーショップ(大麻を販売する店)、セックスクラブ、も閉鎖する。」と発表しました。(最後の2つは、かなりオランダらしいなと思いました…) 

発表の後、お店が閉店するまでの数時間、あちこちで混雑が発生しました。スーパーから、ジャガイモ、トマト缶、パスタ、パン、ポテトチップスなどが特に品薄になりました。これは、日本人との食の違いが露骨に出ているなと感じました。

また、閉鎖される期間の大麻を買い溜めしようと、コーヒーショップは行列ができました。こういった緊急事態の時には、それぞれの国民の特徴が出ますね。

昨日は閉鎖されてから1日目でしたが、いつもは観光客などで賑わうアムステルダムもすっからかんだったそうです。私が住んでいる郊外では、休校になった子供たちは外で遊んでいる姿がたくさん見られ、大人はテラスでお茶を飲んでおしゃべりしたりしている姿が見られました。たまたまオランダでは珍しく良い天気でしたが、またいつも通り雨、曇が続いたらどうなるのでしょう。この状態が今のところ4/6まで続く予定です。

 

いよいよ日本の外務省はオランダの渡航注意勧告レベルを2に引き上げました。まだドイツやフランスほど酷くは無いようですが、九州ほどの面積しかないオランダでここまで感染者が出たことに驚いています。駐在員を急いで帰国させている企業もあるようで、私もどうなるかわかりません。どうかお互いに、身体に気をつけて安全に過ごしたいですね…。