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蘭学事始 No.6

 

今日はオランダ人とお花の関係についてお伝えします。オランダと聞いて、最初にイメージするのは、風車とチューリップの風景、という人も多いのではないでしょうか。(または麻薬と安楽死のイメージが強い方もいらっしゃるかもしれません。)

 

オランダには昔から「パンを2つ買うお金があったら、パンを1つと花を買う。」という言葉があるぐらい、花を飾ることを大切にしています。

 

住宅街を歩いていると、よく家の中が見えるのですが(オランダ人はカーテンやブラインドがない家が多く、丸見えなのです。)

窓際に素敵なお花を飾っている家がたくさんあります。

 

私が初めてオランダの空港に到着した時に驚いたことは、花束を持って到着ゲートで出迎えている人が沢山いたことです。

私の夫もお花を持って待ってくれているのかな、とワクワクしていたら…なにも持っていませんでした…残念。

…しかしながら、家に着くと花束が置いてあって、見直しました。笑

 

空港にもそこそこ大きなお花屋さんがあり、そこで花束を買っている人をよく見かけます。もちろん街中の至る所に花屋があります。ちょっとしたショッピングセンターには必ずと言っていいほど花屋がありますし、静かな住宅街の中に、突然花屋だけあることも珍しくありません。ガソリンスタンドでも花束が売っています。

 

さらに驚くべきことは、オランダの国土面積は九州と同じくらいしかないのにも関わらず、世界で輸出されている花のうちの6割はオランダから来ているということです。オランダはこんなに狭いのに、農作物の輸出額はアメリカに次いで世界第2位なのです。

 

これだけたくさんの花を生産し、需要もあるので、花の値段は驚くほど安いです。花の種類にもよりますが、アレンジされた花束は、私の感覚で言うと日本の1/3か1/4ぐらいの値段です。特にチューリップは両手で抱えるぐらいの量(50本ぐらい)の束が600円ぐらいで売られていました。

お花好きの人からしたから天国です。

 

オランダでお花屋さんをしている人の話によると、オランダの農業はかなり機械化が進んでいて、非常に合理的だそうです。なんとチューリップはビルの様な温室の中で育てている所もあり、球根のうちは下の階。成長が進むに連れて光が必要になるので、自動的に上の階に上がって行き、出荷の頃になるとまた下に下がってきて機械で根本を切り、そのまま機械で運ばれて、ビニールで包まれるのだとか。そこまではコンピュータに操作された機械が行って、人間が直接チェックするのは最後に包まれた花を段ボールに入れる時だけだそうです。

これだけ聞くと、少し夢がない様な気もしますが、狭い面積ながら世界の花市場の6割を占めている理由はそこにあると思いました。

日本の政府は既にオランダの農業の方法を、日本にも取り入れようとしているそうです。オランダの農業から学べることはかなりあるように感じます。

 

 

オランダの冬は日がとても短く、天気も悪いので暗い日々が続きます。そんな季節でも少しでも明るく過ごそうと、家に花を飾る気持ちは実際に暮らしてみてよく分かりました。

私も大学では植物化学を専攻していたので元々花好きではあったのですが、何せ日本では高いので、頂いた時ぐらいしか花を飾る機会がありませんでした。オランダでは気軽に買えるので花を飾ることが増え、花の良さに気づくことができました。

いつか日本でも花の需要が高まり、栽培が盛んになって値段が安くなったら、もっと気軽に自宅や教室に花が飾れて素敵だと思いませんか。