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蘭学事始 No.4

 

こんばんは。今年初めての投稿ということで今回はオランダの年末年始についてお伝えします。オランダの年末年始は、日本の静かなお正月とは正反対です。私は、お店も何にもやっていない、外に出てもあまり人は歩いていない、そんなひっそりとした日本の元旦が好きでした。

 

私にとって初めてのオランダでの年越しとなりましたが、すでにオランダの年越しを経験した日本人の友人が口をそろえて言うのは「花火がすごい。」です。どうやらオランダでは、普段は花火の販売が禁止されており、年末の3日間だけお店で買うことができるそうです。そして、花火を上げて良いのは、31日の18時から年明けの午前2時まで。しかも、日本では考えられないような大きさの花火を、一般人が街中や住宅街のそこらじゅうで上げるので、大変危険だから年越しは家に居たほうが良い、と聞いていました。

 

しかし、聞いてはいても、私の想像では夏休みに砂浜でよくやっている人がいるような、小さくてパーンと上がって終わる花火ぐらいだろうと思いました。初めてのオランダでの年越し、そういう煩さやクレイジーさに耐えられる若さがあるのは今年だけかもしれないと思い、夫と夕方ごろから買い物ついでにアムステルダムの中心地まで出かけました。

 

街を歩いている間、フライングして花火を上げる人がかなりいて(なぜかクリスマスあたりから、あちこちでフライング花火の音が聞こえていました。)

その花火の予想を超える大きさと近さに唖然としました。距離が近いこともあるかと思いますが、日本の花火大会でプロが上げているレベルの大きさの花火に私には見えました。しかも、店や人が密集する都会の街で、その大きさの花火が上がっているのです。その時点で、私たちは帰ろうかと思い始めました…

その後、休憩がてらカフェに寄り、ネットでオランダの花火について今更ながら詳しく調べました。すると、毎年数人死者が出たり、車や家が燃えたりしているという情報が。これはすぐに帰ろうということになり、私たちが帰りのバスに乗っているころ、ちょうど18時を迎えました。花火がどんどんと激しく上がるアムステルダムの中心地を背に、無知は怖いなと思い知りました(苦笑)。

 

家から花火がよく見え、それで十分でした。年越しが近づくにつれて花火が上がる数は増えていき、0時を迎えた後はもう大変です。まるで銃撃戦のようでした。私たちの家の目の前で上げる人は少なかったのですが、友人の家は目の前で花火が上がり続け、車に当たって警報が鳴ったり、窓が震えたりしたそうです。元旦の日に外を歩くと、あちらこちらに花火のごみが落ちていて、いつもは綺麗なオランダの街ではなくなっていました。

 

 

後日、オランダのニュースでは約1300人が花火によって負傷。そのうち13人が片目を、5人が両目を失明したそうです。また、花火によって起きた住宅火災に巻き込まれた親子が2名死亡しました。議会では花火を禁止する動きが高まっていますが、反対も多いようです。

日本だったらすぐに禁止するんじゃないかと思うのですが、さすが麻薬も売春も許される国、毎年死者が出ようともなかなか全国的に禁止とはならないようです。

 

花火が見れる年越しは華やかで素敵ですが、使い方を考えないと…と感じるオランダで初めての年越しでした。