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No339 書き出しを考える

 「諳んじる」なんて読むかわかりますか?辞書で調べると「書いたものを見ないでそのとおりに言う。そらで覚える。暗誦する。」と書いてあります。「そらんじる」と読みます。

   この語感、インパクトありませんか?

 

   今日は、書き出しについて考えます。書き出しに興味を持つのも文豪道場の第一歩かなと思います。私の書棚にも「書き出し」の本は、5冊ほどあるのですが、その中では、「名作の書き出しを諳んじる 矢沢永一 幻冬舎2008」「日本の名作 出だしの一文 樋口裕一 日本文芸社2012」がお薦めです。

 

 川端康成「雪国」の有名な書き出しです。

 

    国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。

    夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。

 

 この「国境」の読み方には、「くにざかい」か「こっきょう」かという議論があるそうですが、皆さんはどっちで読んでいましたか?私は、「こっきょう」でした。 

 「長いトンネル」というのは上越線の清水トンネルで、はじめに列車が止まった「信号所」は土樽信号場(現、土樽駅)です。

 汽車は、蒸気機関車を想像しますが、煙害対策のためで電気機関車牽引だったそうです。

 

 「夜の底が白くなった」 さすが、文豪らしいすごい表現ですね。スキーに行った時、真っ暗でも白く浮かび上がった夜景を思い出します。

 

 樋口裕一さんの「出だしの一文」にこんなことが書かれてありました。

 作文が苦手な小学生の場合「遠足で山道を歩きました。お花がたくさん咲いているのを見ました」と自分の行動を羅列するだけで終わってしまうことが多い。

 「遠足で山道を歩きました。黄色い花に囲まれて、気分がウキウキしました。」と色を具体的に書き加えるだけで、リアリティがぐっと増す。色があることで映像が浮かびやすくなる。

 

    最初の一文は、トンネルから黒を、雪から白が連想でき、水墨画の世界が浮き上がっていると書かれてありました。

 サザエさんのカレーライスでは、どこの場面で色が使えますか?