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No142  梨園の妻  

歌舞伎ついでにもう一つご紹介。「梨園の妻」はご存知の方が多いかと思います。そうです。歌舞伎俳優に嫁いだ妻のことを言います。

 梨園とは、中国の唐の時代に玄宗が、梨が植えてある庭に芸人たちが集め、音楽を磨いたことから始まり、日本では、歌舞伎の社会を指すようになりました。

   妻は、夫の対外的な手配や、食事の心配り、お給料の心配から盆暮れの付け届けといったお金やスケジュール管理などの仕事もこなすスーパー主婦なのです。

   先日も歌舞伎終了後にバックステージ・ツアーに参加したのですが、和文化講座で教えていただいた歌舞伎俳優の大谷桂三さんと奥様がいらっしゃいました。和服姿で一歩下がった振る舞いは、美しく惹きつけられました。

   最後に名刺をいただきました。名前の横に小さく「大谷桂三家内」と書かれていたことが印象に残りました。

   皆さんや家族や友だちは、配偶者のことを何と言っていますか?

  男性から女性を呼ぶ場合、辞書によれば、妻(夫の配偶者)、嫁・嫁さん(息子の妻)、奥さん・奥様(相手・他人の妻、既婚者と見える女性)、家内(家の中で暮らす人、亭主の妻)、カミさん・上さん(商人の妻、その家の女主人)、女房(妻のこと、朝廷に仕える女官)とあります。

   関西出身のお笑いタレントは、「嫁」とよく使っていますが、本来嫁は息子の妻ですからおかしいですよね。うちの奥さんもおかしいことになりますが、ある調査によると嫁(23.0%)が1位で、奥さん(15.7%)、名前の呼び捨て(12.3%)、家内(10.9%)、妻(10.6%)だったそうです。

   今度は女性から男性を呼ぶ場合、同じく辞書によれば、夫(女性を「妻」というのに対し、男性をいう語)、主人(家の長、店の主(あるじ)、自分の仕える人)旦那(お布施をする人、商家の奉公人が自分の主人を敬っていう語、男の得意客、自分や他人の夫)亭主(その家の主、夫、茶の湯で茶事を主催する人)とあります。

  同じく調査では、1位は主人(23.4%)、旦那(22.9%)、お父さん・パパ(17.6%)でした。

   歌舞伎の世界では、控えめで奥ゆかしいイメージがあるので、きっと家内と主人を使うのでしょうね。言葉の意味を考えると現代にはあっていませんが、それが伝統なのでしょう。

  「夫」「妻」が、公的な呼び方でどの場面でも使用可能なのだそうです。

皆さんもちょっと呼び方を見直してみてはいかがでしょう。